コラム
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休むことも、トレーニング。
毎週火曜日の午前中(10:30~12:00)は、SPORTIA最高齢H様(88歳)のトレーニングサポートです。
11月には89歳を迎えられます。
毎週サポートさせていただいていますが、
本当に毎回、多くのことを学ばせていただいています。
ここ最近、
ジムに来られた時、
少し身体が重そうに見えます。
・歩き方。
・表情。
・動き。
・生活スタイル。
いくつか確認しましたが、
特別大きな問題があるようには感じませんでした。
むしろ、
「身体の評価としては悪くない」と私は思っていました。
それでも、
何となく元気がない。
そんな印象でした。
会話の中に、ヒントがあった。
トレーニングをしながら、
いつものようにいろいろな話をしていると、
H様が近所の整形外科に、
月に1回ほど通われていることを知りました。
以前、
肩に痛みがあった時に受診されていたことは知っていましたが、
現在も定期的に通われていることは知りませんでした。
そこで、
H様からこんな話を聞きました。
整形外科の先生から、
「毎日、この運動をしてください。」
と教えていただいた運動があるとのこと。
H様は、とても真面目な方です。
言われた通り、
毎日欠かさず行っているそうです。
運動内容は、
スキーで使うポールのようなものを両手に持ち、
腕と脚を使いながら屈伸動作を繰り返す運動。
3〜5分程度。
もちろん、
この運動自体が悪いわけではありません。
その先生にも、
何か目的があって勧められた運動だと思います。
ただ、
その日のH様の身体を見ながら、
私は少し考えました。
「今のH様に、本当に必要な運動であろうか。」
そこで私は、
紙に「波(周波数のようなもの)」を書いて説明しました。

(※写真は、イメージです。)
波の上は、
「元気な状態。」
波の下は、
「疲れている状態。」
だと説明した後、
H様に聞きました。
「運動をした直後って、この波の上と下、どちらに行くと思いますか?」
すると、
H様は、
「下かな?」
と答えてくれました。
「そうです!」
運動をすると、
身体には刺激が入ります。
そして、
一時的に疲れます。
つまり、
その瞬間だけを見れば、
身体は一度“下”へ向かいます。
でも、
そこで終わりではありません。
大切なのは、「回復する時間」。
運動した後、
身体は回復していきます。
・疲労が抜ける。
・筋肉が回復する。
・動きが戻る。
・体力が戻る。
その過程を経て、
また次の運動ができる状態になります。
そこで、
もう一度、H様に聞きました。
「では、まだ下にいる時に、また運動したらどうなると思いますか?」
すると、
H様は、
また、
「下かな。」
と答えられました。
その通りです!
運動だけでは、身体は強くなりません。
運動と回復がセットになって、初めて身体は次へ進みます。
だからこそ、
運動しない時間も必要なのです。
そこで私は、
H様に聞きました。
「でも、運動を休むのって不安じゃないですか?」
すると、
すぐに、
「そうなの。不安!」
と返ってきました。
これも、
とても印象的でした。
真面目な方ほど、
・毎日やらなければいけない。
・休んだら筋力が落ちる。
・やらなかったら身体が悪くなる。
そう考えやすいのだと思います。
だから私は、
H様にこう伝えました。
「私を信じて休んでください!」
運動したくなったら、
本当に軽いストレッチ程度でいい。(軽いストレッチ運動は毎日してもよい。)
今日は動かない。
明日も無理にやらない。
身体が戻る時間をつくる。
それも、
立派な身体づくりです。
運動は、やればやるほど良いわけではない。
運動は身体に良い。
これは、多くの方が知っています。
だからこそ、
「毎日運動しましょう。」
「できるだけ身体を動かしましょう。」
という言葉もよく耳にします。
もちろん、
運動習慣をつくることは大切です。
しかし、
運動は、やればやるほど良いわけではありません。
特に、
年齢を重ねれば重ねるほど、
私は「回復力」を大切に見る必要があると考えています。
若い頃は、
少しくらい疲れても、
一晩寝れば戻る。
多少トレーニングをやり過ぎても、
数日すれば元に戻る。
しかし、
年齢を重ねると、
回復には時間がかかります。
(※私自身も強く感じます。)
だから、
運動量だけではなく、
「その運動から回復できているか。」
を見る必要があります。
強くするためには、休ませることが重要。
これは、
高齢者だけの話ではありません。
アスリートも同じです。
ダイエット中の方も同じです。
一般の方も同じです。
強くしたい。
痩せたい。
体力をつけたい。
そう思うと、
どうしても、
「もっとやろう。」
という方向へ進みやすくなります。
でも、
身体は、
トレーニングしている最中だけで変わっているわけではありません。
・食事をする。
・睡眠を取る。
・疲労を抜く。
・身体を整える。
そして、
次の刺激を受けられる状態へ戻す。
ここまで含めて、
身体づくりです。
強くするためには、休ませることが必要。
これは、
とても大切な考え方だと思っています。
「毎日やる」が正解とは限らない。
今回、
H様が毎日行っていた運動について、
私は、
「その運動が悪い。」
とは思っていません。
その運動が合う方もいると思います。
毎日行った方が良いケースもあるでしょう。
しかし、
大切なのは、
誰が、いつ、どの状態で行うのか。
です。
同じ運動でも、
元気な日に行うのと、
疲れている日に行うのでは、
意味が変わります。
・年齢。
・体力レベル。
・生活スタイル。
・睡眠。
・食事。
・前日の活動量。
・痛み。
・疲労。
いろいろなものを見ながら、
その日の身体に必要なものを考える。
だから私は、
運動法そのものより、
「その人に今、何が必要なのか。」
の方が大切だと思っています。
社会的な立場がある人の言葉には、重みがある。
今回、
もう一つ考えさせられたことがあります。
医師。
トレーナー。
専門家。
そうした立場の人が発する言葉には、
大きな影響力があります。
「毎日やってください。」
と言われれば、
真面目な方ほど、
毎日やります。
だからこそ、
私たち専門家側は、
言葉に責任を持たなければいけません。
単に、
「この運動が良い。」
ではなく、
どのくらいやるのか。
いつやるのか。
いつ休むのか。
身体がどうなったら減らすのか。
そこまで含めて伝える必要がある。
私はそう思っています。
「今日は何をするか」ではなく、「今日は何が必要か」。
以前のブログでも書きました。
私はパーソナルトレーニングを考える時、
「今日は何をするか。」
ではなく、
「今日は何が必要なのか。」
を考えることを大切にしています。
トレーニングメニューを決めて、
予定通りに消化することが目的ではありません。
強化する日もある。
整える日もある。
軽く動かす日もある。
そして、
何もしない日もある。
その選択ができることも、
パーソナルトレーニングの価値だと思っています。
休むことも、トレーニング。
今回、
H様との会話から、
改めて思いました。
・運動すること。
・休むこと。
・食べること。
・眠ること。
・身体を整えること。
すべてがつながっています。
身体を強くするために、
運動は必要です。
しかし、
運動だけでは足りません。
身体を強くするのは、「運動」と「回復」の繰り返し。
だから、
休むことに罪悪感を持つ必要はありません。
むしろ、
身体の状態によっては、
休むことが、その日に一番必要なトレーニングになる。
こともあります。
頑張ることだけが、
身体づくりではありません。
休むことも、
整えることも、
次に進むための大切な準備です。
休むことも、トレーニング。
H様との会話から、
改めてそう感じた一日でした。
株式会社スポーティア
代表取締役
野村 幸紀