column

コラム

HOME›最新情報›コラム›主役と黒子
  • コラム

主役と黒子

先日、シカゴマラソン2026を観戦しました。

世界屈指の高速レース。

日々の練習を積み重ねてきた、世界のトップランナーが挑む42.195km。

圧巻でした。

「走っている選手の姿」は、

速い。

強い。

最後まで粘る。

そして、結果を出す。

もちろん、選手自身が一番すごい!

これは間違いありません。

しかし、選手をサポートさせていただく立場にいると、

どうしても私は、その少し後ろ側を想像します。

「この結果にたどり着くまで、どのような準備をしてきたのだろう。」

ということです。


結果を出す選手の後ろには、必ず選手が信頼するコーチがいる。

マラソン選手は、

ただ毎日たくさん走れば速くなるわけではありません。

「練習を組み立てること」

が重要になります。

・タイミング

・距離

・スピード

・負荷

・場所

・休養

目的とする大会に向けて、

身体と走りのピークをつくっていく。

そのためのロジックがあります。

そこには、

「経験と科学」

があります。

また、

・身体をケアするプロ。

・栄養を管理するプロ。

・メンタルをサポートするプロ。

・フィジカルをサポートするプロ。

がサポートチームに入るケースも多くあります。

私が関わらせていただいている選手のチームには、

綾部総監督という絶対的なコーチがいます。

綾部総監督は、

長年にわたり練習プログラムを模索し続けている方で、

間違いなく日本トップクラスのコーチだと思っています。

私自身、

綾部総監督の練習プログラムを拝見させていただいたり、

お話をさせていただく中で、

多くのことを勉強させていただいています。

その中で感じることがあります。

「ラントレーニングとフィジカルトレーニングは、プログラムを組み立てる考え方がよく似ている。」

ということです。

競技練習とフィジカルトレーニング。

やっていることは違います。

しかし、

考え方には共通するものがあります。

現状を確認し、目的を決め、刺激の入れ方をプログラムする。

そして、

選手の反応を見ながら修正していく。

私たちフィジカルトレーナーや治療家(ケアトレーナー)も、

監督やコーチも、

基本的には「黒子」です。

試合で表彰されるわけではありません。

記録に名前が残るわけでもありません。

しかし、

間違いなく「差が出る位置」にいる。

私はそう思っています。


ダイエットも、実はまったく同じ。

シカゴマラソンの話をしていたお客様と、

その後「ダイエット」の話になりました。

そこで私は、

「ダイエットも同じですよ。」

とお伝えしました。

体重を落としたい。

体脂肪を落としたい。

そうなると、

「炭水化物を抜けばいい。」

「食べなければいい。」

「とにかく走ればいい。」

という話になりがちです。

もちろん、

摂取カロリーを抑えることも、

運動量を増やすことも、

方法の一つです。

しかし、

ダイエットにも“ロジック”があります。

今の体重。

体脂肪量。

筋肉量。

活動量。

食事量。

PFCバランス。

睡眠。

トレーニングプログラム。

仕事。

年齢。

そして、

いつまでに、どのような身体になりたいのか。

それらを考えながら、

少しずつ身体を変えていく。

「体重を落とすこと」と「良い身体をつくること」は、必ずしも同じではありません。

ここが難しいところです。


「知っている」と「やってきた」は違う。

今の時代、

ダイエットの情報はいくらでもあります。

検索すれば、

・食事法も出てくる。

・トレーニング法も出てくる。

・カロリー計算もできる。

・AIに聞けば、かなり詳しく教えてくれます。

しかし、

私が現場で感じるのは、

「情報として知っていること」と「実際に身体をつくってきたこと」は違う。

ということです。

私自身、

コンテストに向けて身体をつくり、

食事を管理し、

体脂肪を落とし、

体調の変化も経験してきました。

予定通り落ちる時もあれば、

落ちない時もある。

体重は落ちても、

身体に張りがなくなることもある。

疲労が抜けないこともある。

食事を減らし過ぎて、

トレーニングの質が落ちることもある。

身体は、計算式だけでは動いてくれません。

だからこそ、

現場で経験することには価値があると思っています。


そして今、「魔法」のようなものが身近になっている。

最近、

ダイエットを取り巻く環境も大きく変わってきました。

医療として肥満症を治療するための薬も登場しています。

必要な方に、

適切な診断と管理のもとで使用されることには、

当然、大きな意味があります。

一方で、

私が少し気になるのは、

健康上の治療とは別に、

「できるだけ楽に痩せたい。」

「早く結果を出したい。」

という目的で、

薬を“近道”として求める風潮です。

人間ですから、

“楽”に結果が出る方法があれば、

惹かれる気持ちは分かります。

私だって、

努力せずに筋肉がつく。

努力せずに速く走れる。

そんな方法があると言われれば、

一瞬は興味を持つかもしれません。

でも、

身体づくりに、本当に「魔法」はあるのでしょうか。


ボディビルのドーピングと、少し似て見える。

以前、

コンテスト編でもドーピングについて書きました。

・筋肉を大きくしたい。

・もっと早く成長したい。

・コンテストで勝ちたい。

・結果を出したい。

その気持ちが強くなればなるほど、

人は「近道」に惹かれます。

ダイエットも、

どこか似ているように感じます。

・早く痩せたい。

・空腹を感じたくない。

・努力を減らしたい。

・リバウンドしたくない。

もちろん、

医療として必要な薬の使用と、

競技におけるドーピングを同じものとして扱うことはできません。

まったく別のものです。

ただ、

私がここで考えたいのは薬そのものではなく、

「人は結果を急ぐ時、何を求めるのか。」

ということです。


結果だけを見ると、過程が見えなくなる。

・マラソンを速く走る。

・体脂肪の少ない身体をつくる。

・大きな筋肉をつくる。

SNSには、

結果が映ります。

しかし、

その結果の裏には、

・日々の練習があります。

・食事があります。

・睡眠があります。

・失敗があります。

・修正があります。

そして、

その人に合わせて考えられたプログラムがあります。

結果には、結果が出る理由があります。

私は、

そこをもっと追求し、伝えていきたいと思っています。


「ただやる」のではなく、「考えて積み重ねる」。

・走ることも。

・ウエイトトレーニングも。

・ダイエットも。

ただやれば良いわけではありません。

・今の自分を知る。

・目的を決める。

・計画をつくる。

・実践する。

・身体の反応を見る。

・修正する。

・繰り返す。

決して派手ではありません。

むしろ、

地味です。

時間もかかります。

でも、

身体づくりとは、本来そういうものだと思います。


今回、

シカゴマラソンを観ながら、

改めて感じました。

表舞台で結果を出す選手は、本当にすごい。

その人が主役です。

しかし、

その結果だけではなく、

「そこに至るまで、何を積み重ねてきたのか。」

を見ることも大切です。

その裏側には、

コーチがいる。

サポートスタッフがいる。

プログラムがある。

経験がある。

科学がある。

そして、

本人自身の地道な積み重ねがあります。

主役が力を発揮するために、

目立たない場所で支える「黒子」がいる。

そして、それは、

私たち一般の身体づくりも同じです。

ダイエットも。

健康づくりも。

筋力トレーニングも。

近道を探すのではなく、

自分の身体を知り、

自分に必要なものを考え、

少しずつ積み重ねていく。

良い結果の裏側には、必ず「ロジック」と「積み重ね」がある。

シカゴマラソンを観ながら、

そんなことを改めて考えました。


株式会社スポーティア
代表取締役
野村 幸紀