コラム
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パーソナルトレーナーという仕事の本質。
パーソナルトレーナーとは、どのような仕事なのでしょうか。

筋力トレーニングの方法を、マンツーマンで教える仕事。
ピラティスやヨガといった運動法を、マンツーマンで教える仕事。
ストレッチを、マンツーマンで教える仕事。
ダイエットやボディメイクを、マンツーマンでサポートする仕事。
もちろん、それらはすべて、パーソナルトレーナーの大切な仕事です。
私は26年前、いち早くパーソナルトレーナーという仕事の可能性に着目し、予防医学の観点から、ウエイトトレーニングとストレッチを組み合わせた運動指導を行ってきました。
多くの方の身体と向き合い続ける中で、パーソナルトレーナーの仕事は、
単に運動法を教えることだけではないという本質に辿り着いています。
身体は、一人ひとり違う。
同じ年齢。
同じ性別。
同じ身長や体重。
同じような運動経験。
数字だけを見れば、似たような身体に見えるかもしれません。
しかし、実際に身体を見て、話を聞き、動いていただくと、一人ひとりまったく違います。
これまで、
・どのような生活を送ってきたのか。
・どのような仕事をしてきたのか。
・どのような運動を経験してきたのか。
・どこに痛みや不安を抱えているのか。
・どのくらい眠れているのか。
・どのような食生活をしているのか。
そして、
・これからどのような身体で生きていきたいのか。
現在の身体には、その方がこれまで積み重ねてきた生活の背景が表れています。
だからこそ、体重や体脂肪率、筋肉量といった数字だけで、その人の身体を判断することは難しい・・・。
数字は、身体を知るための大切な入口です。
しかし、数字だけが答えではありません。
パーソナルトレーナーに必要なのは、
数字の奥にある「身体の背景」を見ることだと思っています。
運動を教える前に、「身体の背景」を知る。
「肩が上がりにくい」
「腰に違和感がある」
「最近、疲れが抜けにくい」
「以前より歩くのが遅くなった」
「片脚で立つことが不安になった」
お客様との何気ない会話の中には、身体の状態を知るための多くの情報があります。
だからこそ、「カウンセリング」という時間が必要なのですね。
・病歴を知る
・現在の身体の不安を知る
・睡眠や食事内容を知る
・体組成を確認する(ここが数字ですね)
・姿勢を確認する
・関節の可動域を確認する(静的柔軟性)
・動きを確認する(筋力・バランス)
・呼吸を見る。
・立ち上がり方や歩き方を確認する
‥
そして、普段の生活や体調について話を聞く。
運動を始める前に、その方の「身体の背景」を理解しようとする。
また、お客様との世間話には身体の背景を知るヒントがたくさんあります。聞き流してはダメです。
私は、この時間こそがパーソナルトレーニングの「要」だと考えています。
身体の状態を十分に見ないまま、すべての人に同じ運動を行ってもらうのであれば、それはパーソナルトレーニングとは呼べません。
その日の体調や身体の変化を確認し、今、その方に必要な運動を考える。
時には、予定していたトレーニング内容を変更することもあります。
負荷を上げる日もあれば、身体を整えることを優先する日もあります。
運動を行わず、休養を勧める日もあります。
目の前の身体を見ながら、何を行うべきかだけではなく、何を行わないほうがよいのかを判断する。
それも、パーソナルトレーナーの大切な仕事です。
医師ではない。だからこそ、知識が必要になる。
パーソナルトレーナーは、医師ではありません。
病気を診断することも、治療することもできません。
しかし、私たちは継続的にお客様と会い、身体を動かし、生活や体調について話を聞く仕事です。
だからこそ、いつもとは違う小さな変化に気づくことができます。
最近、
・急に疲れやすくなった。
・息切れが増えた。
・眠れなくなった。
・食欲が大きく変化した。
・体重が急に増減した。
・以前にはなかった痛みや違和感が続いている。
・表情や声の調子が、いつもと違う。
こうした変化のすべてが、病気を意味するわけではありません。
しかし、身体や心から発せられる小さなサインである可能性はあります。
パーソナルトレーナーが勝手に病名を判断してはいけません。
一方で、知識がなければ、その変化を見過ごしてしまうことがあります。
だからこそ、解剖学や運動生理学だけではなく、生活習慣病、循環器疾患、代謝疾患、整形外科的疾患、加齢による変化、メンタルの変化などについても、基礎的な知識を学び続ける必要があります。
自分たちの役割の範囲を理解した上で、
・運動を続けてもよい状態なのか。
・一度運動を中止したほうがよいのか。
・医療機関を受診していただくべきなのか。
その判断を誤らないための知識です。
日々の会話や身体の変化から、病気や大きな不調につながる兆候に気づき、早い段階で専門家につなぐことはできます。
まさに、「予防」です。
病気になってから関わるのではなく、病気になる前の段階で身体と向き合うことが理想です。
私は、ここにパーソナルトレーナーという仕事の大きな役割と可能性があると考えています。
心と身体の両方に寄り添う。
身体の状態は、心の状態と切り離して考えることはできません。
・仕事で大きなストレスを抱えている時。
・家庭の事情で落ち着かない時。
・睡眠が不足している時。
・自信を失っている時。
そのような時には、いつもできている運動ができないこともあります。
反対に、身体を動かすことで気持ちが前向きになったり、頭の中が整理されたりすることもあります。
パーソナルトレーナーは、カウンセラーでも医師でもありません。
心の病気を診断したり、治療したりすることはできません。
しかし、目の前の方の話を聞くことはできます。
無理に励ますのではなく、今の状態を受け止めることはできます。
・いつもより負荷を軽くする。
・ゆっくり身体を動かす。
・呼吸を整える。
・時には、運動よりも会話を大切にする。
その日の心と身体の状態に合わせて、時間の使い方を考えることができます。
パーソナルトレーニングの時間は、筋肉を鍛えるだけの時間ではありません。
お客様が自分自身の心と身体を見つめ直し、少し整えて日常へ戻っていく時間です。
身体の変化だけを見るのではなく、その方が今、どのような気持ちで過ごしているのかにも目を向ける。
心と身体の両方に寄り添うことも、パーソナルトレーナーに必要な役割です。
目の前の運動だけを見ない。
お客様がパーソナルトレーニングを始める理由は、それぞれ異なります。
・痩せたい。
・筋肉をつけたい。
・姿勢を良くしたい。
・痛みなく動けるようになりたい。
・競技力を高めたい。
・健康を維持したい。
・年齢を重ねても、自分の脚で歩き続けたい。
最初の目的は違っていても、多くの方が本当に求めているものは、単に一時的な身体の変化だけではありません。
・これから先も、自分らしく生活できる身体。
・仕事や趣味を続けられる身体。
・家族との時間を楽しめる身体。
・やりたいことに挑戦できる身体。
つまり、
人生を支える身体を求めているのだと思います。
だから私たちは、今日のトレーニングだけを見るのではなく、その方の5年後、10年後を想像しなければなりません。
今できる運動を行うだけではなく、将来も動き続けられる身体を育てる。
それが、パーソナルトレーナーに求められる資質です。
トレーニングは、強くするだけではない。
身体を強くするためには、筋肉に適切な負荷をかけることが必要です。
しかし、負荷を持つ前に、整えておくべき身体があります。
まず、マット上で身体を整える。
次に、立った状態で自分の身体をコントロールする。
そして、適切な負荷を持つ。
整えて、動いて、負荷を持つ。
この順序を大切にすることで、運動は単なる筋力づくりではなく、長く動き続けるための身体づくりになります。
整えるだけでは、体力は育ちません。
動けるだけでも、身体は強くなりません。
適切な負荷をかけることで、身体は初めて維持され、向上していきます。
大切なのは、特定の運動法を行うことではありません。
その運動を、何のために行うのか。
目の前の方に、本当に必要な運動なのか。
目的を見失わないことです。
正解を押しつける仕事ではない。
身体づくりには、唯一の正解があるわけではありません。
年齢や体力、生活環境、仕事、価値観によって、必要な運動も、継続できる方法も異なります。
毎日運動できる人もいれば、週に一度の時間を確保することで精一杯の人もいます。
私たちトレーナーの役割は、自分たちの正解を押しつけることではありません。
その方の生活の中で、何ができるのか。
何を優先するべきなのか。
どのような方法であれば続けられるのか。
一緒に考え、現実的な道筋をつくることです。
どれほど素晴らしい運動でも、続かなければ身体は変わりません。
一方で、
小さな取り組みであっても、正しい方向に積み重ねることができれば、身体は必ず応えてくれます。
だからこそ、パーソナルトレーナーには、運動の知識だけではなく、相手の生活や考え方を理解する力が必要なのだと思います。
長く身体を見続けるということ。
SPORTIAには、10年、20年、25年とトレーニングを継続されているお客様が多くいらっしゃいます。
私たちトレーナーも年齢を重ねます。
そして当然、お客様も年齢を重ねていきます。
若い頃にできていたことが、同じようにはできなくなることもあります。
仕事や家族構成、生活環境が変わることもあります。
身体の悩みや、運動の目的も変わっていきます。
だから、パーソナルトレーニングの内容も変わらなければなりません。(必ず変化します。)
以前と同じ運動を続けることが、必ずしも正しいとは限りません。
その時々の身体を見て、必要なことを考える。
鍛える時期もあれば、整える時期もある。
挑戦する時期もあれば、回復を優先する時期もある。
その変化に寄り添いながら、長く身体を見続ける。
パーソナルトレーナーとは、お客様の人生の一部に関わらせていただく仕事でもあります。
だからこそ、知識や技術だけではなく、責任と覚悟が必要です。
パーソナルトレーナーは、人生の伴走者。
パーソナルトレーナーは、お客様の代わりに運動することはできません。
代わりに食事を整えることも、代わりに休むこともできません。
最終的に身体を変えていくのは、お客様自身です。
しかし、一人では気づけない身体の変化に気づくことはできます。
不安や迷いに耳を傾けることはできます。
進む方向を、一緒に考えることはできます。
調子が良い時には、次の挑戦を後押しすることができます。
調子が悪い時には、一度立ち止まる勇気を伝えることができます。
パーソナルトレーナーは、身体を変えてあげる人ではありません。
お客様自身が、自分の身体を知り、自分の心と向き合い、自分の身体を育てていけるように支える人です。
・運動を教える。
・身体を整える。
・適切な負荷をかける。
・話を聞く。
・小さな変化に気づく。
・必要な時には、医療やほかの専門家につなぐ。
そして、
その方が歩む人生に、長く伴走する。
それが、私が考えるパーソナルトレーナーという仕事の本質です。
私たちSPORTIAは、ただトレーニングを提供する場所ではなく、人の心と身体、そして人生に向き合う場所でありたいと考えています。
そのために、私たちは何を大切にし、どのような場所を目指していくのか。
次回は、
「SPORTIAが目指す場所。」
について書きたいと思います。
株式会社スポーティア
代表取締役
野村 幸紀