コラム
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体脂肪率だけで、身体を見ない。
数字の奥にある「身体の背景」を見る。
身体を評価する時、多くの方が気にされる数字があります。
・体重
・体脂肪率
・筋肉量
・内臓脂肪レベル
・基礎代謝量
・総エネルギー量
これらの数字は、身体を知る上でとても大切な指標です。
数字を見ることで、今の身体の状態を客観的に確認することができます。
感覚だけでは分からないことを、数字が教えてくれることもあります。
だから私は、数字を見ること自体を否定しているわけではありません。
むしろ、身体を理解する上で、数字は大切な材料だと考えています。
しかし、その一方で感じることがあります。
それは、
数字だけで身体を判断してしまうことの危うさ
です。
特に、「体脂肪率」という数字は、多くの方がとても気にされます。
体脂肪率が高い or 低い。
前回の測定より増えた or 減った。
その数字に一喜一憂してしまう。
もちろん、体脂肪率は大切な指標です。
しかし、体脂肪率だけを見て、その人の身体を判断することは危険でもあります。
体脂肪率は、身体を知るための一つの入口です。
しかし、それが答えではありません。
これは、基礎代謝量や総エネルギー量、摂取カロリーについても同じです。
基礎代謝量は、
何もしていなくても身体が生命活動を維持するために必要とするエネルギー量(㎉)です。
総エネルギー量は、
日常生活や運動などを含めて、1日にどれくらいエネルギーを使っているのかを考えるための目安量(㎉)です。
摂取カロリーは、
食事からどれくらいエネルギーを摂っているのかを知るための数字です。
これらを把握することは、とても大切です。
体重の増減を考える時も、健康管理を考える時も、栄養状態を考える時も、
これらの数字を無視して進めることはできません。
基本的には、「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランスを見ることは重要です。
「食べている量=摂取エネルギー」
「基礎代謝量+動いている量=消費エネルギー」
これらを確認することで、身体の変化を考えるヒントになります。
しかし、現場で人の身体を見ていると、数字だけでは説明できないことがたくさんあります。
「この摂取カロリーなら体重が落ちるはず」
「これだけ運動しているなら体脂肪率が下がるはず」
「総エネルギー量から考えると、この食事量で体重管理ができるはず」
このように数字上では考えられても、実際の身体がその通りに反応しないことがあります。
なぜなら、人の身体には、数字には表れにくい背景があるからです。
・回復力
・筋力、筋力発揮、最大筋力
・柔軟性、関節の可動域
・姿勢
・動き
・睡眠
・食生活
・疲労度、心と体
・ストレス度
・ホルモンバランス
・治療歴
・服薬
こうした背景によって、身体の反応は変わります。
同じ体脂肪率でも、身体の状態は人によって違います。
同じ摂取カロリーでも、身体の反応は人によって違います。
同じ運動量でも、疲労の残り方や回復の仕方は人によって違います。
だからこそ、数字だけを見て身体を判断することは難しいのです。
「体脂肪率が高いから、食事を減らせば良い」
「体重が増えたから、運動量を増やせば良い」
「基礎代謝量が低いから、とにかく筋肉を増やせば良い」
「摂取カロリーが多いから、もっと制限すれば良い」
もちろん、その考え方が必要な場合もあります。
しかし、それだけでうまくいかないことの方が圧倒的に多いのです。
数字だけを見て単純に判断してしまうことで、その方にとって必要な選択から離れてしまうこともあります。
「食事を減らしすぎて、身体が疲れているのかもしれない。」
「運動量が多すぎて、回復が追いついていないのかもしれない。」
「睡眠不足によって、身体がうまく反応していないのかもしれない。」
「ストレスが強く、身体が緊張状態にあるのかもしれない。」
「過去の治療や服薬の影響を考える必要があるのかもしれない。」
「筋力や柔軟性が不足していて、運動の質が上がっていないのかもしれない。」
そこを見ずに、体脂肪率やカロリーだけで判断してしまうと、本質を見落としてしまいます。
私は、現状を伝えてダメ出しをすることは、誰でもできると思っています。
「体脂肪率が高いですね」
「筋肉量が少ないですね」
「もっと運動しましょう」
「もっと食事を気をつけましょう」
「摂取カロリーを減らしましょう」
そう伝えることは簡単です。
しかし、それが本当の意味での指導なのかと考えると、私は少し違うと思っています。
指導者として大切なのは、現状をきちんと伝えること。
そして、その方を必要以上に不安にさせないこと。
数字だけで否定しないこと。
その人の背景を理解すること。
その上で、どうすれば今より良い方向に進めるのかを一緒に考えること。
ここが大切だと思っています。
身体の評価において、数字は必要です。
しかし、数字を見て終わりではありません。
大切なのは、
その数字をどう解釈するか
です。
なぜこの体脂肪率なのか。
なぜこの筋肉量なのか。
なぜこの摂取量でも変化が出にくいのか。
なぜこれだけ運動しているのに体力が変化しないのか。
なぜ身体が思うように変わらないのか。
そこを一つひとつ見ていくことが、身体を評価するということだと思います。
今は、YouTubeやSNSを通して、身体に関する情報を簡単に得ることができます。
体脂肪率を測りましょう。
摂取カロリーを管理しましょう。
基礎代謝を上げましょう。
この運動をすれば痩せます。
この食事法なら体脂肪が落ちます。
こうした情報は、身体に関心を持つきっかけとしては良い面もあります。
しかし、受け取る側が数字だけに意識を向けすぎると、自分の身体を見る視点が狭くなってしまいます。
そして、私たちフィットネス業界や医療・健康に関わる業界も、数字の伝え方をもっと学ばなければいけないと感じています。
数字で不安を煽るのではなく、数字を正しく使う。
数字を目的にするのではなく、身体を理解するための材料として使う。
ここが大切です。
SPORTIAでは、体脂肪率だけで身体を見ません。
もちろん、測定は大切です。
体重も、体脂肪率も、筋肉量も、基礎代謝量も、総エネルギー量も大切です。
しかし、それらは身体を知るための材料であって、身体そのものではありません。
私たちが見るべきなのは、
数字の奥にある身体の背景
です。
姿勢。
柔軟性。
筋力。
動作。
呼吸。
疲労。
回復力。
生活習慣。
運動習慣。
食事の内容。
その方が何を不安に感じているのか。
何を目指しているのか。
どのような生活を送っているのか。
そこまで含めて、初めて身体が見えてくるのだと思います。
その上で、その方にとって今何が必要なのかを一緒に考える。
食事の見直しなのか。
運動の量を増やすことなのか。
逆に、運動の強度や頻度を調整することなのか。
筋力をつけることなのか。
柔軟性を取り戻すことなのか。
睡眠や休息を整えることなのか。
不安を減らすことなのか。
まずは継続できる形をつくることなのか。
答えは一つではありません。
だからこそ、数字だけで決めつけるのではなく、その人と一緒にベストな選択を考えていく必要があります。
体脂肪率だけで、身体を見ない。
数字を大切にしながらも、数字に振り回されない。
数字は、身体を知る入口です。
しかし、答えではありません。
大切なのは、数字の奥にある身体の背景を見ること。
そして、その方にとって今必要な選択を一緒に考えること。
それが、SPORTIAが大切にしている身体の見方です。
株式会社スポーティア
代表取締役
野村 幸紀