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89歳クライアントから学ぶこと

SPORTIAには、長く通ってくださっているお客様が多くいらっしゃいます。

5年。

10年。

15年。

20年。

25年。

そして最長は、26年です。

私は2000年8月からパーソナルトレーナーとして活動を始めました。

現在、最も長くサポートさせていただいているクライアントは、2000年12月から継続されている74歳の女性です。

48歳からトレーニングを始められ、現在まで26年間、週1回のトレーニングを続けてくださっています。

同じトレーナーが同じクライアントをこれだけ長期間継続してサポートしているケースは、全国的に見てもかなり珍しいのではないかと思っています。

そしてSPORTIAでは、

40代から週1回のトレーニング習慣を始め、

60代。

70代。

80代。

と年齢を重ねながら継続されている方が、会員の半数以上を占めています。

これは、SPORTIAの大きな特徴の一つです。

その中で、現在の最高齢は88歳。

11月には89歳を迎えられるH様です。

SPORTIA歴は5年強ですが、毎週のサポートを通して、私自身が多くのことを学ばせていただいています。

今回は、H様との会話や身体の変化から感じたことを書いてみたいと思います。


「下半身の筋力が落ちることで、死を迎えるのかな。」

先日のトレーニング中、

H様が珍しく弱気な言葉を口にされました。

「先生、下半身の筋力が落ちることで、死を迎えるのかな。」

普段、とても前向きな方なので、この言葉は少し意外でした。

年齢を重ねる中で、

・歩くスピードが変わる。

・疲れやすくなる。

・立ち上がる動作が以前より大変になる。

このような身体の変化を、自分自身でも感じることが多くなるのだと思います。

私は、

筋力だけを見て、すぐに悲観する必要はないこと。

そして、

身体は筋力だけで成り立っているわけではないこと。

そんな話をしました。

するとH様は少し安心された表情になり、

その直後、

私にこんな言葉をかけてくださいました。

「先生、まだ51歳!チャンスはこれからまだまだあるので、頑張ってくださいね!」

逆に、私が励まされました。


88歳から見れば、51歳はまだ若い。

この言葉は、非常に印象に残りました。

51歳という年齢をどう見るか。
(※2027年1月で52歳。)

「もう51歳。」

と考えるのか。

それとも、

「まだ51歳。」

と考えるのか。

88歳のH様から見れば、

51歳は、

まだまだこれから。

なのだと思います。

これは身体づくりだけの話ではありません。

仕事も。

人生も。

挑戦も。

何歳になっても、

今の自分から見える未来があります。

年齢を重ねることと、可能性がなくなることは同じではない。

H様の一言から、

そんなことを改めて教えていただきました。


最近、急に「柔軟性」が落ちてきた。

一方で、

ここ最近のH様の身体を見ていて、

明らかに変化している部分があります。

それが、

「柔軟性」です。

以前に比べ、

身体の硬さが急に出てきています。

本人は、

「筋力が落ちてきた。」

と感じている部分もあると思います。

しかし、実際に身体を見ていると、

筋力だけでは説明できません。

関節の動き。

筋肉の張り。

身体全体の動かしにくさ。

そして、

歩行時の動き。

そこに、

「柔軟性の低下」が大きく影響しているように感じます。


その日は、トレーニングを軽くした。

通常であれば、

筋力にフォーカスしたトレーニングを30分行う予定でした。

しかし、

その日の身体を見て、

私はトレーニングの負荷を落とし15分程の筋力トレーニングを行い、

身体を整える時間(ボディケア:ストレッチ)をいつもより長く(30分 ⇒ 40分)行いました。

・筋肉をゆっくり動かす。

・関節を動かす。

・身体の緊張を少しずつ取っていく。

すると、

トレーニング後には明らかな変化がありました。

・顔色が良くなった。

・歩くスピードが上がった。

・身体の動きも軽くなった。

その姿を見ながら、

改めて感じます。

それは、

高齢者の身体づくりは、筋力だけを見ていてはいけない。

ということです。


筋力と柔軟性は、セットで考える。

私たちは、

年齢を重ねると、

「筋力が落ちる。」

という話をよく聞きます。

もちろん、筋力は重要です。

・立つ。

・歩く。

・身体を支える。

・階段を上る。

・転倒を防ぐ。

そのためには筋力が必要です。

しかし、

筋力があっても、

柔軟性が落ち、身体が十分に動かなければ、

その力を使うことができません。

逆に、

柔軟性があっても、

身体を支える筋力が落ちれば、

安定した動きはできません。

だからこそ、

筋力と柔軟性は、どちらかではなく、両方が必要。

なのです!

これ、とても大切な考え方だと思います。


「強い身体」とは、筋肉がある身体だけではない。

若い頃は、

筋力を高める。

筋肉を増やす。

そうしたことに目が向きやすいと思います。

しかし、

年齢を重ねた方の身体を長く見ていると、

「強い身体」という言葉の意味も変わってきます。

・筋力がある。

・柔軟性がある。

・呼吸がスムーズである。

・姿勢を保てる。

・バランスが取れる。

・疲れても回復できる。

・自分の身体を、自分でコントロールできる。

こうしたものすべてを含めて「体力」なのだと思います。

SPORTIAでは、

身体を見る時に、

筋力だけではなく、

・姿勢。

・柔軟性。

・動き。

・支持力。

・バランス。

・回復力。

こうしたものを総合的に見ることを大切にしています。

H様の身体は、

その重要性を改めて教えてくださいます。


老化と「回復力」。

最近、私が特に注目しているのが、

「回復力」です。

若い頃は、

少しくらい疲れても、

一晩寝れば戻る。

身体が硬くなっても、

少し動けば戻る。

しかし、

年齢を重ねると、

疲労から戻るまでに時間がかかるようになります。

・身体の張りが抜けにくい。

・関節の動きが戻りにくい。

・睡眠を取っても、疲労感が残る。

これは、

筋力とはまた違う変化です。

だからこそ、

年齢を重ねた身体に必要なのは、

強くすることだけではありません。

整える。

動かす。

負荷を与える。

そして、回復させる。

この循環が重要になります。


「今日は何をするか」ではなく、「今日は何が必要か」。

H様をサポートしていて、

改めて思うことがあります。

トレーニングメニューを決めて、

そのメニューを予定通り行うことが、

パーソナルトレーニングではありません。

・今日は身体が動くのか。

・疲労はどうなのか。

・柔軟性はどうなのか。

・歩き方はどうなのか。

・表情はどうなのか。

・本人はどう感じているのか。

それを見ながら、

「今日は何をするか。」ではなく、

「今日は何が必要なのか。」

を考える。

これが、

パーソナルトレーナーの大切な仕事だと思っています。


高齢者から学ぶことは、本当に多い。

私は30年以上、

多くの方の身体を見てきました。

・アスリート。

・経営者。

・一般の方。

・コンテスト選手。

そして、高齢者。

その中でも、

高齢者の身体から学ぶことは、

本当に多いと感じています。

身体は、

・年齢とともにどのように変わるのか。

・何が先に落ちていくのか。

・何を維持すべきなのか。

・どこまで身体は変わるのか。

そして、

・何歳になっても、身体に刺激を与えることに意味があるのか。

その答えを、

目の前のお客様から教えていただいています。


まだまだ、チャンスはある。

今回、

H様からいただいた、

「先生、まだ51歳!チャンスはこれからまだまだある。」

という言葉。

私は、この言葉を大切にしたいと思っています。

88歳の方から見れば、

51歳は、まだまだこれから。

そして、

88歳のH様自身も、

今の身体と向き合い、

今日できることを続けています。

だからこそ、

説得力があります。

何歳になっても、その年齢なりの可能性がある。

・身体も。

・仕事も。

・人生も。

大切なのは、

「もう遅い。」

と決めることではなく、

今の自分にできることを、今日から積み重ねること。

なのだと思います。


H様の身体を見ながら、

私はこれからも多くのことを学ばせていただくと思います。

そして、その経験を、

次の世代へ伝えていくことも、

私たち運動指導者の役割だと考えています。

年齢を重ねても、

自分の脚で歩き、

自分のやりたいことを続けられる身体をつくる。

そのために、

筋力だけを見るのではなく、

柔軟性も、

動作も、

回復力も見る。

人の身体を、人生という長い時間軸で見ていく。

これもまた、

SPORTIAが大切にしている身体づくりです。


株式会社スポーティア
代表取締役
野村 幸紀