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運動を文化にする。

ここ3回のブログで、

「パーソナルトレーナーという仕事の本質。」

「SPORTIAが目指す場所。」

「SPORTIA BASEという挑戦。」

について書いてきました。

そして最後に書きたいのが、

「運動を文化にする。」

ということです。

これは、私が長くこの仕事を続けてきた中で、最終的に目指したいことの一つです。

ただ、30年以上現場に立ち続けてきたからこそ、痛感していることがあります。

運動を文化にすることは、本当に難しい。


運動に興味がある人だけでは、文化にはならない。

パーソナルトレーニングジムSPORTIAに興味を持ち、「体験」「入会」してくださる方々は、そもそも何かしら身体や健康についての悩みを持ち、

「運動に興味を持っている方々」

です。

この30年間で、運動をするための施設は大きく増えました。

・パーソナルトレーニングジム

・コンビニ型トレーニングジム

・低価格型トレーニングジム

・ピラティス、ヨガ専門スタジオ

・クロスフィットジム

など、選択肢は非常に多くなりました。

しかし、運動施設が増えたことと、

運動する人が社会全体に定着したことは、同じではありません。

30年前にも「フィットネスクラブブーム」がありました。

フィットネスクラブが全国に増え、館内ではさまざまなグループレッスンが行われていました。

その代表的なものが、エアロビクスダンスです。

多くの人が参加し、大きな盛り上がりを見せました。

しかし、時代が変わると、また新しい運動法が登場します。

ヨガ。

ピラティス。

ファンクショナルトレーニング。

クロスフィット。

そして現在も、次々と新しい運動法やサービスが生まれています。

もちろん、それぞれに素晴らしい価値があります。

問題は、そこではありません。

なぜ、運動施設も運動法もこれほど増えたのに、
運動習慣は社会の当たり前になっていないのか。

私は、ここに長年疑問を持っています。

一つの理由として、

フィットネス人口が増えそうなタイミングになると、業界全体が、

「なぜ運動が必要なのか。」

よりも、

「この運動法は素晴らしい。」

という方向へ進みやすかったことがあるのではないかと考えています。

30年前も。

そして30年経った今も。

「運動の本質を伝えること」より、

「運動法を広めること」が先に来てしまう。

そんな構図は、あまり変わっていないように感じます。

しかし、本当に大切なのは、

ピラティスをすることでも、

ウエイトトレーニングをすることでも、

ヨガをすることでもありません。

身体を動かす習慣を、自分の人生の中に持つこと。

運動法は、そのための一つの手段です。

ここを間違えてしまうと、新しい運動法が流行するたびに人は動いても、

運動そのものが生活に根付くところまでは届きません。

それでは、

「ブーム」にはなっても、「文化」にはならない。

私は、そう考えています。


先日、小中学校時代の大切な仲間たちと食事をする時間がありました。

同じ地域で育ち、同じ学校に通い、それぞれ違う人生を歩んできた仲間たちです。

久しぶりに会えば、昔話や仕事の話、家族の話など、会話は尽きません。

その中で、職業柄どうしても私は、みんなの「身体」を見てしまいます。

姿勢。

体型。

歩き方。

顔色。

疲れ方。

そして会話の中から感じる、生活習慣。

50代になれば、身体には少しずつ差が出てきます。

もちろん、それが良い、悪いという話ではありません。

ただ、改めて強く感じたことがありました。

それは、

「健康や若々しさ、運動習慣に対する意識には、人それぞれ大きな差がある。」

ということです。

私は30年以上、運動の世界で生きてきました。

だから、

「運動した方がいい。」

「筋力は落とさない方がいい。」

「身体を動かす習慣は必要。」

ということが、当たり前になっています。

しかし、世の中全体で見れば、それは決して当たり前ではありません。

ここに、

運動を文化にする本当の難しさがあります。


「分かっている」と「行動する」は違う。

多くの人が、

「運動した方がいいことくらい分かっている。」

と言います。

おそらく、本当に分かっています。

・健康診断でも言われる。

・テレビやインターネットでも見る。

・家族からも言われる。

・身体が重くなった。

・疲れやすくなった。

・昔より動けなくなった。

本人も、何となく気づいています。

それでも、運動を始めない。

あるいは、始めても続かない。

ここが一番難しいところです。

知っていることと、行動することはまったく違います。

そして、

行動することと、習慣になることも違います。

だから、単に

「運動は大切ですよ。」

と伝えるだけでは、人はなかなか変わりません。


未来の自分を想像できるか。

今回、友人たちと話をしながら、私は一つのことを考えていました。

今の身体だけを見ていると、運動の必要性を感じにくいのではないか。

今、歩ける。

今、仕事ができる。

今、旅行にも行ける。

今、特に大きな病気もない。

だから、

「まだ大丈夫。」

と思ってしまう。

しかし、本当に考えるべきなのは、

今ではなく、10年後、20年後の自分です。

60歳になった時。

70歳になった時。

80歳になった時。

・自分の脚で歩けているのか。

・旅行に行けるのか。

・好きな服を着られるのか。

・孫と遊べるのか。

・仕事を続けられるのか。

・自分のことを、自分でできるのか。

もちろん、未来のことは誰にも分かりません。

運動をしていれば、すべての病気を防げるわけでもありません。

それでも、

今の身体への積み重ねが、未来の身体に影響する。

これは間違いありません。

だからこそ私は、

「運動をしなさい。」

ではなく、

「どんな未来の自分でいたいですか。」

という問いを伝えていく必要があるのではないかと思っています。


運動は、体型を変えるためだけのものではない。

運動というと、

・痩せる。

・筋肉をつける。

・若々しく見せる。

・スポーツが上手くなる。

そうしたイメージが強いと思います。

もちろん、それも運動の大きな価値です。

しかし、私が伝えたい運動の価値は、それだけではありません。

・立つ。

・歩く。

・階段を上る。

・物を持つ。

・旅行をする。

・仕事をする。

・人に会う。

・好きなことを続ける。

こうした日常を支えているのは、すべて「体力」です。

若い頃は、特別に何もしなくてもできていたことが、年齢とともに少しずつ難しくなっていく。

だからこそ、

運動とは、未来の自分の自由を守るためのもの。

私は、そう考えています。


興味がない人に、どう届けるか。

ここが、私たち運動指導者(スポーツトレーナー)にとって最大の課題だと思っています。

運動が好きな人。

健康への意識が高い人。

身体づくりに興味がある人。

そういう方に運動を伝えることは、比較的簡単です。

すでに必要性を感じているからです。

本当に届けなければいけないのは、

運動が嫌いな人。

時間がないと思っている人。

まだ必要性を感じていない人。

自分には関係ないと思っている人。

その人たちです。

だから私は、

「週に何回トレーニングしましょう。」

「この運動をしてください。」

というところから入るのではなく、

その人の生活や価値観から考えることが必要だと思っています。

旅行が好きなら、

何歳まで、自分の脚で旅行をしたいのか。

ゴルフが好きなら、

何歳まで、元気にラウンドしたいのか。

仕事が好きなら、

何歳まで、現役で働きたいのか。

家族との時間が大切なら、

その時間を楽しめる身体でいたいと思わないか。

運動を目的にするのではなく、

その人が大切にしている人生の中に、運動を置いていく。

それが必要なのだと思います。


小さな運動でもいい。

「運動をする」と言うと、多くの人が少し構えてしまいます。

・ジムに行く。

・1時間トレーニングする。

・汗をかく。

・きついことをする。

そんなイメージがあるからです。

しかし、私はそこから変えていかなければいけないと思っています。

・10分歩く。

・少し遠くの駐車場に車を停める。

・階段を使う。

・朝、身体を少し動かす。

・スクワットを数回する。

・週に一度、自分の身体と向き合う。

それでも十分に「運動」です。

最初から100点を目指す必要はありません。

ゼロを1にする。

その小さな一歩をつくることの方が、はるかに重要です。


企業の中にも、運動を文化として。

私は現在、企業の中でも運動指導を行っています。

そこでも同じことを感じます。

会社の中には、もともと運動が好きな方もいれば、ほとんど運動をしない方もいます。

健康に強い関心を持っている方もいれば、

「今はまだ大丈夫。」

と思っている方もいます。

だから企業の健康づくりも、一度運動イベントを行えば終わりではありません。

・月に一度でもいい。

・身体について考える。

・少し身体を動かす。

・自分の現在地を確認する。

・未来の身体を想像する。

・その時間を繰り返しつくる。

それが少しずつ、

「会社の中で運動することが特別ではない。」

という空気をつくっていきます。

私は、これこそが「文化」だと思っています。


文化とは、頑張らなくてもそこにあるもの。

文化とは何でしょうか。

私は、

誰かに言われなくても、自然とそこにあるもの。

だと思っています。

歯を磨く。

お風呂に入る。

食事をする。

仕事へ行く。

誰かに毎日、

「今日は歯を磨きましたか?」

と言われなくても、多くの人は行います。

それが生活に根付いているからです。

運動も、いつかそうなればいい。

「健康のために頑張って運動する。」

ではなく、

身体を動かすことが、生活の中に自然とある。

子どもも。

働く世代も。

高齢者も。

身体を動かすことが特別ではない社会。

そこまでいって初めて、

運動が文化になった。

と言えるのではないでしょうか。


SPORTIA BASEの先にあるもの。

前回書いたSPORTIA BASEも、最終的な目的ではありません。

・施設をつくる。

・トレーニングを提供する。

・身体を整える。

・健康について学ぶ。

・人が集まる。

それらはすべて手段です。

私が本当に目指しているのは、

その場所をきっかけに、

・一人でも多くの人が自分の身体に興味を持つこと。

・未来の自分を想像すること。

そして、

・小さくても運動を始めること。

・その人が家族に伝える。

・職場で伝わる。

・子どもたちにも伝わる。

そうやって少しずつ広がっていく。

SPORTIA BASEは、

運動を文化にしていくための一つの拠点。

そうありたいと考えています。


運動を文化にする。

30年以上この仕事を続けていますが、

運動の大切さを人に伝え、

実際に行動してもらい、

それを習慣にしてもらうことは、

今でも本当に難しいと感じます。

しかし、難しいからこそ、やる意味があります。

健康に興味がある人だけを支えるのではなく、

まだ運動の必要性を感じていない人にも、

未来の身体について考えるきっかけをつくる。

無理に運動を押しつけるのではなく、

その人自身が、

「少し身体を動かしてみようかな。」

と思えるようにする。

その小さな変化を、一つずつ増やしていく。

私はこれからも、その仕事を続けていきたいと思っています。

運動指導者(スポーツトレーナー)として。

パーソナルトレーナーとして。

SPORTIAという会社として。

そして、これからつくりたいSPORTIA BASEという場所を通して。

運動を、特別なものから、当たり前のものへ。

運動を、文化にする。

簡単ではありません。

だからこそ、

これからのSPORTIAが挑戦する価値があるのだと思っています。


株式会社スポーティア
代表取締役
野村 幸紀